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秋吉理香子著「婚活中毒」感想―婚活とイヤミスの相性が絶妙な短編集

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どうも!あやひ.です。
秋吉理香子さんの『婚活中毒』を読了しました。

婚活がテーマの短編集で、基本的にあと味が悪いイヤミスです。

読後感として、とりあえずイヤミスと婚活って相性最高!!!!!ってこと。
女のドロっとした精神的な怖さを堪能できる1冊でした。

今回は『婚活中毒』各ストーリーの感想をネタバレなしで紹介します。


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婚活中毒のあらすじ

運命の出会いはいのちがけだ――

この人となら―と思ったその時、
あなたはもう騙されている!

人生はどんでん返しの連続
『暗黒女子』著者が贈る
サプライズ満載の〈婚活〉ミステリー

引用:実業之日本社『婚活中毒』詳細ページより

婚活をテーマに展開される男女の小話が4編収録されています。
男主人公、女主人公の話がそれぞれ2編ずつです。

こじらせた崖っぷち女の痛々しいプライドや、男心の移ろいが生々しく、結婚というか、婚活が怖くなります。

あや
あや
怖いけど、「わかる。」ってなる展開なんですよねぇ…

街コンや結婚相談所、代理婚活など、各ストーリーで婚活の舞台が違うのも見どころです!

婚活中毒それぞれのストーリー

それでは、各ストーリーのあらすじと感想を紹介していきます。

理想の男

崖っぷち女が紹介された運命の相手は連続殺人犯?

「理想の男」は町の小さな結婚相談所で知り合った男女の物語です。

主人公はアラフォー目前で彼からフラれ、リストラで職を失った崖っぷち女性。

若さなし、職なし、彼氏なしという崖っぷち感半端じゃない女性なんですが、母親に結婚相談所を勧められると「まだ、そこまでしなくても…」っていうアイタターな感じ…。

主人公的に結婚相談所は本当にヤバくて必死になった人しか集まらない場所らしく、いや、あなたもやん?っていう。

いわゆる根拠のない「まだ大丈夫」って現実を直視しない女性で、いらないプライドで後から後悔するタイプかなあ、と思いました。

あや
あや
全てが手遅れになってから気づいて後悔するやつ…

さて、最初は乗り気でなかった主人公。まさかの一人目に紹介された男性がまさかの上玉。とんとん拍子に交際がスタート。

しかし、プロポーズ間近ってところで男性が過去に交際した女性4人が不慮の事故や自殺で死亡していることが発覚という話。

その男性が殺人鬼か、無実かはともかく、「婚活にちっぽけなプライドを持ち込むな」という教訓を感じる内容でした。ちっぽけなプライドなんて、なんの足しにもならんですね…。

婚活マニュアル

街コンで出会った美女の暴走に戸惑うマニュアル男は…

「婚活マニュアル」は30歳男性が主人公。

婚活するにはまだ早い年齢の気もしますが、高校の同級生が孤独死したことをきっかけに結婚を意識し始めるように。ルックスもそこそこで、根は真面目。

手始めに街コンに参加するのですが、「受験でも就職でも参考書やマニュアルに頼ってきた世代」と言うだけあり、前日までに恋愛のハウツー本を熟読します。

そしてハウツー本の教えを忠実に守り、参加した街コンで一番の美女とカップリング!

しかし、その美女は主人公に高い料理やブランド品をねだりまくり。美女にゾッコンの主人公はいつしかハウツー本にあった警告サインも無視して、自分の食事を切り詰めてまで彼女に貢ぎます。

そんな時に、街コンで絶対ナイと思っていた“デブ子”と接する機会があり、謙虚で素直な性格に心惹かれていき…という物語です。

いわゆる「美人は三日で飽きるが、ブスは三日で慣れる」といった内容をベースにしています。

あーはいはい。じゃあこれはブス子のサクセスストーリー…というわけでもなく。

主人公の心の揺れ動きも生々しいんですが、「女、怖い!!!!!」となる結末でした。
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リケジョの婚活

本命男を絶対に落とす〈婚活ツール〉の中身とは?

「リケジョの婚活」は、そのままリケジョが主人公の物語です。

あや
あや
余談ですが、本書も3話目になると話の傾向が見えてきて、ページをめくる指が重いこと…(笑)

舞台は婚活をテーマにしたTV番組の収録。ナイナイのお見合い大作戦的なやつで、その名も「人気婚活番組 ミッション縁結び~逆告白スペシャル回~」。

主人公はTVの自己PR動画で見かけた男性に運命を感じて企画に参加します。

リケジョの本気…というか、絶対に男性を落とすために自作の婚活ツールを使って、何度も会話をシュミレートしていたり、男性の3Dモデルとしてバーチャル化していたりと、頭は良いんだろうけどちょっと不気味な女性です。

とにかく確率でしか二人の関係を見ておらず、「恋愛成就率は今○%…」という感じ…。

この話については、一番「世にも奇妙な物語」テイストが強く、不気味さが残る内容でした。
一切非現実的な内容は含まれていないのに、地に足がつかないような不安感がものすごいです…。

代理婚活

息子の見合いで相手の母親に恋心を抱いた父親は…

「代理婚活」は古希間近の夫婦が女っ気のない息子のために代理婚活に励む内容です。

主人公は父親側で、最初は「放っておけよ」と乗り気ではなかったのですが、不純な動機で積極的に動き出します。

あや
あや
まさかの、相手側の母親にときめくという…!

相手側の母親に会いたいがために、食事をセッティングしたり、息子が結婚してくれたら…と妄想したり。本当に浮かれ具合が半端ないです…。

しかし、やはり結婚は当事者同士の問題ですから、親が苦心してもうまくいかない時はうまくいかないようで。
最終的には驚きの事実が発覚したり、何となくほっこりしたりして終わります。

ネタバレなしの感想としては、面白い切り口だな、と感じる内容でした。

そもそも「婚活」と「恋愛」って別物で。それでも当事者ではなく、父親の立場から恋愛ネタも盛り込むっていう。

必死な婚活も、恋に盲目になる甘酸っぱさも詰まった1冊です!

あや
あや
ほぼ後味悪いですけどね!(笑)

「婚活中毒」は一気読みしてしまう面白さでした!

今回は秋吉里香子著の『婚活中毒』をネタバレなしで紹介しました。

秋吉里香子さんの本はこれが初めてだったのですが、とても読みやすい文章でほぼ半日くらいで読了。

あや
あや
通勤電車の往復で読み切ってしまいました♪

生々しく、痛々しい登場人物たちの心理描写が本当に上手で、イヤミス好きや短編小説が好きな人にオススメな1冊です。
「次、何読もうかな?」と悩んでいる人は、ぜひ『婚活中毒』を手に取ってみてください♪