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【ネタバレ無】長江俊和『掲載禁止』あらすじ&感想―蜜たっぷりの闇を感じる短編集

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人が死ぬところを見たくありませんか?

本屋を散策していたら、目に飛び込んできた物騒なコピー。釘付けになって、引き寄せられるみたいに手に取った1冊が長江俊和さんの『掲載禁止』です。

「なんだ、これ…?」
ざわついた気持ちで裏側のあらすじを読んでみると、人が死ぬ瞬間を見られるツアーや、愛する男の部屋の天井裏に住み着いたストーカー女など、かなりおどろおどろしい短編集であることが分かりました。

短編集ならスキマ時間にサクッと読めそうだなあ、何より結末が気になる…ということでイッキ読み!

あや
あや
通勤時間で読もうと思っていたのに、購入した休日の夜に読み切ってしまいました…(笑)

今回は長江俊和さんの『掲載禁止』をレビューしていきます!


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長江俊和著『掲載禁止』は脳内イメージが広がる怖さ…

まずは私が購入を決めた本裏側のあらすじをどうぞ。

人の死を見るツアーに参加したジャーナリストが目にした異様な光景(「原罪SHOW」)、マンションの天井裏に潜む歪んだ愛(「マンションサイコ」)。恋愛していたら決して読んではいけない戦慄作「斯くして、完全犯罪は遂行された」の他、不気味な読み味の「杜の囚人」と、どんでん返しに言葉を失う表題作「掲載禁止」。繰り出される謎と仕掛けに、一行たりとも目を離せない衝撃の作品集!

読み終わってみて、まず思ったのが映像が浮かぶ文章だったなあ…ということ。
とにかく文章がシンプルで読みやすい。脚本チックというか、シナリオのト書きみたいな感じで、1文が短いんですよね。すっきりしているというか。

あや
あや
著者の長江俊和さんが映像作家ということもあるのかもしれません。

人が死ぬのを見るツアーやら、天井裏に住み着いたストーカーやら…これが生々しく脳内にイメージで浮かんでくるんです。普通に怖いよ…。

映像がヤバすぎて「お蔵入り」したみたいなガチ恐怖ストーリー

最後に解説を読んで合点がいったんですけど、それぞれ内容は違えど、なんだか似てる話が多かったなあという印象でした。

わたしは長江俊和さんの作品が初めてて、解説を読んで映像作家もしてて、彼の作るフィクションドキュメンタリーにファンが多いって知ったんですよね。

今回の短編集でも、ジャーナリストがスクープを掴もうとするあまり、踏み込んではいけないところにまで足を突っ込んでしまうとか、常軌を逸しているヤバイ人の話とか、まさか…とは思うけど、ありえなくもない生々しい内容が多かったです。

それこそ、これ、テレビで放送しちゃったらヤバいよね…?というガチ感というか、本当にヤバすぎてお蔵入りしてしまったネタっぽいというか。
なんだかんだ人が1番怖いよね系の話が好きな人には、かなりオススメな1冊です!

なんだかんだ人の死をみるツアー『原罪SHOW』が1番インパクト大

やっぱり個人的に印象深かったのは帯のコピーにもなっている『原罪SHOW』でした。どの作品も甲乙つけがたい内容だったんですけど。

本書でも『原罪SHOW』が一番最初に収録されています。

『原罪SHOW』は人の死ぬ瞬間を見られる謎のツアーにジャーナリストが潜入する話。ガチで警察沙汰な現場を目撃するのですが、あくまでジャーナリストとしてどんな形で視聴者に届けるか、みたいなことで話が進んでいきます。

私にもそんなセンセーショナルなニュースをみたい!知りたい!欲求ありますが、一読者としてはうわあ…と引いちゃうレベルのジャーナリスト魂。なんともスッキリしない、後味の悪さが残る内容でした。

思わず引き寄せられる…闇って蜜たっぷりだよねって話

不気味だし、怖いし、異常者いっぱい出てくるし…。
今回紹介した長江俊和さんの『掲載禁止』は社会の闇を見せつけられる内容ばかりですが、やっぱりどこかで惹かれてしまう…そんな短編集でした。

不謹慎とは思いつつ、ニュースで目を引くのは過激な事件がほとんど。ゲスいと思いつつ、人の不幸は美味しい“ネタ”なんですよね。
そんな蜜たっぷりの闇を堪能したい方は、ぜひ『掲載禁止』を手に取ってみてください。